バイクチェーンを清掃するタイミングと作業手順

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  3. バイクチェーンを清掃するタイミングと作業手順

バイクの走行性能を維持し、寿命を延ばすために欠かせないメンテナンス、それがチェーンの清掃と注油だ。チェーンはエンジンが生み出したパワーをタイヤに伝える、バイクの命綱である。

このチェーンが汚れていたり、油が切れていたりすると、パワーロスが生じるだけでなく、最悪の場合は走行中にチェーンが切れてしまう危険性もあるんだ。

「チェーンメンテって面倒くさい」と感じるかもしれないが、正しいタイミングと手順を覚えれば、それほど難しい作業ではない。
むしろ、自分でメンテナンスを行うことで、愛車のコンディションを肌で感じられる貴重な時間になる。

この記事では、バイクの性能を最大限に引き出すために必要なチェーンの役割、適切な清掃タイミング、そして具体的な清掃から注油までの手順を解説する。
自分でメンテナンスを行い、愛車との信頼関係を深めてほしい。

バイクチェーンが持つ重要な役割とメンテナンスの必要性

チェーンは単なる動力伝達装置ではない。バイクの走行性能、燃費、そして安全性に直結する重要な部品だ。

エンジンの力を確実に後輪へ伝える

チェーンの最も重要な役割は、エンジンで発生した回転力をロスなく正確に後輪へ伝えることだ。

チェーンが適切な張り(たるみ)を保ち、潤滑油がしっかり効いていることで、スムーズかつ静かに動力を伝達できる。
もしチェーンが汚れて抵抗が増えると、パワーの一部が熱や摩擦で失われ、加速性能や最高速にも悪影響を及ぼすことになる。

清掃・注油を怠ると寿命が大幅に短くなる

チェーンの内部には、ローラーとピンの間に潤滑油(グリス)が封入されている。
このグリスが劣化したり、外からの泥や砂、ホコリと混ざり合って「スラッジ」と呼ばれる汚れになると、チェーンの動きが渋くなるので気を付けよう。

この状態で放置すると、チェーンの摩耗が急速に進み、最終的には交換が必要となる。
定期的なメンテナンスを行うことで、チェーンの寿命を数倍に延ばすことが可能だ。

チェーン清掃を行うべき適切なタイミング

チェーンの清掃と注油は、走行距離や天候、使用環境によって適切なタイミングが異なる。僕の経験から、以下のタイミングを目安にすることを推奨する。

原則:500km〜1000km走行ごとが目安

最も一般的な清掃・注油の目安は、走行距離500kmから1000kmごとだ。

日常的なツーリングや通勤に使っている場合は、このサイクルを厳守することで、チェーンを常に良いコンディションに保つことができる。
長距離ツーリングを計画している場合は、出発前と帰宅後の二回行うのが理想的とされる。

例外:雨天走行後や汚れが目立つとき

走行距離に関係なく、必ず清掃すべきタイミングがある。それは、雨の中を走行した後や、泥道を走ってチェーンに目に見える汚れが付着したときだ。
特に雨天走行後は、チェーンルブ(潤滑油)が雨水で流れ落ちている可能性が高く、錆の発生リスクが跳ね上がる。

雨が降った翌日には、最低でも注油だけは行おう。
また、チェーンを指で触ってみて、ネバネバとした黒い汚れ(スラッジ)が付着している場合も、清掃のサインである。

この黒い汚れは、古いルブと外部のホコリが混ざったものであり、チェーンの摩耗を促進させる原因となるからだ。

清掃と注油で性能を回復させる作業手順

チェーンメンテナンスに必要なケミカルは、「チェーンクリーナー」と「チェーンルブ(潤滑油)」の二種類である。
正しい手順で行えば、誰でも確実にチェーンをリフレッシュできる。

ステップ1:汚れを浮かせるチェーンクリーナーの塗布

最初に、チェーンの下に新聞紙や段ボールなどを敷き、汚れが地面につかないように養生する。
次に、チェーンクリーナーをチェーン全体、特にローラーの隙間やプレートの裏側にたっぷりと吹き付ける。

クリーナーの成分が汚れを分解し、浮かせてくれるまで数分間放置。

チェーンを回転させながらクリーナーを吹き付けるため、必ずエンジンは停止させ、リアタイヤを浮かせた状態で作業することが重要だ。
センタースタンドがない場合は、メンテナンススタンドを使おう。

ステップ2:ブラシを使った汚れの除去と拭き取り

クリーナーが汚れを浮かせてくれたら、専用のチェーンブラシを使って、チェーンのすべての面を丁寧に擦り落としていく。特にローラーとプレートの接合部は念入りに行うべきだ。

ブラシで汚れを落としたら、乾いた布やウエスで、浮いた汚れと余分なクリーナーを完全に拭き取る。
この工程で汚れが残っていると、新しいルブに混ざってすぐにスラッジになってしまうため、徹底的に行おう。

ステップ3:チェーンルブの注油と定着

チェーンが乾いた状態になったら、いよいよルブ(潤滑油)の注油だ。
ルブはチェーンの内側、プレートとローラーの隙間にピンポイントで吹き付ける。チェーンの外側(プレートの表面)に吹き付けても飛び散るだけで意味がない。

チェーンをゆっくりと回しながら、内側全体に均一に注油し終えたら、ルブがチェーンの内部に浸透し、溶剤が揮発するまで数分間、放置して定着させる。

最後に、チェーンの表面に残った余分なルブをウエスで軽く拭き取れば完了だ。

チェーンメンテナンスは愛車への「投資」でありライダーの責務だ

チェーンメンテナンスは、面倒な作業だと敬遠されがちだが、バイクの性能を保ち、安全性を高めるための必須タスクである。
正しい知識とケミカルを使って、愛車のチェーンをピカピカに保ち、快適なライディングを続けよう。